ヤフオクなんて早く止めて一度に多くの金額を取れる仕事に切り替えたほうがいい。
そう言われたことがある。
一人じゃなくて何人か、から。
ヤフオクで1個数千円とかの商品をたくさん積み上げて頑張って販売しても利益は低いだろうと。確かにそういう考えもあるとは思う。
そう言う人たちは現場を受けてそれなりの金額を貰っていた。まあ、それなりに儲かっているのだろうと思うし俺よりも上手くいっているのは間違いなさそうだった。
じゃあ俺がそう言う人たちのように営業したり現場作業をしてより多くの金額が入るように行動するかと言ったらイヤなこった、である。
俺が現在の商売をしようと思った理由はざっくりと言えば3つ。
- 自分にとって最もストレス無く独立でき、独立後の苦労も少ない
- 仕入れた品物をネットで売ることが出来るのなら最終的には自分の居場所がどこでも関係ない
- 誰かから仕事を貰わなければならない訳ではないので自分のペースで進められる
あくまでも自分の都合により現在の商売を選んだ。
村上龍がエッセイで言っていたことがもの凄く理解できる。もうよく覚えていないのだが、「小説を書くということが自分にとって最も簡単なことだった」という内容。
物を仕入れて売るという行為が俺にとって最も楽なことなのだ。
そうじゃなければ営業をしてリサイクルの現場を取ったり掃除の仕事を始めたりしていたと思う。在庫を持たなければ倉庫なんて不要、ガレージでも借りていれば大丈夫。簡単なことだ。
でも、俺にとってはそういう仕事はストレスでしかない。
25歳から35歳まで営業や現場を経験してきた。営業時代は社用車で毎日得意先の訪問や新規開拓。リサイクルの仕事になってからも営業経験があるということで新規開拓はさせられた。加えて現場をくれる取引先も担当していたので、毎日のように電話、現場見積もり、作業などなど常に誰かのペースで仕事をしていた気がする。
俺はきっと、誰かのペースや都合に自分を合わせていくのが苦手なのだと思う。
それが仕事なら我慢することもできたのだが、35歳が俺の限界だったのだ。収入が下がるかもしれない、何年も続けられる仕事ではないのかもしれない、と分かっていてもごく自然に退職するしかないと思ったからだ。
今、少しの売り上げ増のためにそういう世界にもう一度戻らなければならないのなら、逆に会社員に戻るんじゃないかな。それならまだ、納得もできそうだ。
だが、自分の仕事でそれをするのはどうしても気が進まない。
そもそもの疑問があるのだが、独立して仕事をしていると言っても、形が変わっただけで結局のところ雇用されているようなものなんじゃないのか?
普通、独立しても仕事を発注してくれる誰かがいる、それに自分の時間と労力、能力を注ぎ込む。自分が持っている知識や経験を労働時間に突っ込んでいる訳。
誰かがくれた仕事には納期がある。決まった様式がある。その仕事に関わる他の誰かもいた場合、調整も必要だ。そうして分解していくと、仕組みは会社と何ら変わらない。
仕事は他者、他社が作り出し、決められた納期で仕上げる、それに対してお金を貰う。その為にはできる限りの時間を使う。
やっぱり俺にはできそうも無い。
そうやって仕事をできる人を軽蔑しているとか社蓄性フリーランスだバカやろうとか思ったりはしていない。むしろそういう仕事をしっかりとこなすことが社会人、フリーだろうが会社員だろうが変わらないはずだ。できない自分の能力が低いのだろうと思う。脳の処理力が低いのか社会に適合する力が低いのかは分からないけれど。
俺は自分の最大限の楽しみのために今後もヤフオクやネットショッピングを中心にした仕事をしていく。品物や販売チャンネルは変わっていくとしてもやることは大きく変わらない。カメラも楽しい、見たこともない商品に出会うのも楽しい、面白い商品を探すのも楽しいのだ。
物販は商品を仕入れ、売れるスピードよりも速く商品を追加していくことでどんどん仕事が楽になっていく。月に絶対売らなければならない金額をその月に作るのは無理だ。最初は仕方ないがそういう自転車操業を続けるのはあまりにリスクが高い。
積みあがった商品は確かに在庫として倉庫に存在する。だが、適切に売り切りをしていくことでパンクせずに商品を回転させることは可能だ。それができない奴はどんなに良い商品を仕入れてもいずれパンクする。仕入れて売ってのバランスが大事。仕入れて仕入れて売って、仕入れてになると在庫過多。
物販はなぜ、商品を追加していくことで仕事が楽になるのか?
自分の販売ページに商品が多くなればなるほど、その月の売り上げの為に働かなくて済むようになるからだ。ある意味ベーシックインカムと同じ。
前の月、前の前の月に作業した仕事が今月の売り上げとしてお金に変わる、今の自分の仕事は未来に向けてのものとなる。
そうすると仕入れにも余裕が生まれる、利益の取りづらいもの、売り脚が遅そうなものは敢えてスルーしても大丈夫。何とか頑張れば、なんて気合で仕入れる必要は無い。
むしろちょっと仕入れが高くても良い物、将来的に扱いたい商品だってどんどんチャレンジできるのだ。
そうして自分の販売ページをガラッと生まれ変わらせることができるのも楽しみの一つ。これは物販ならではの仕事の楽しみかただと思う。
更に言えば、ショップのデザインを自分でいじれるようになったり、販売文句や商品タイトルの作りかたのテクニックを身に付ければ、それを教えてしまえば良い。そうすると作業しなくてもお金が生まれる。ブログにまとめるのも良さそうだ。
物販をすることで生まれる展開、売るという行為も俺にとっては楽しめる。
天職ではないのだろうが、仕事を楽しんでいるという点では自信が持てるのだ。