しがない!

しがない40代自営業の世迷言

もしも自分が大学卒業の際に就職をしていたら?起業していたら?

人生にはいくつかの可能性があって、俺たちは最善と思えるものや信頼できる誰かの意見などを参考にして、進むべき道を選んでいる。
いつでも俺は俺の考えだけで生きている、という人もいるのかもしれないが、それにしたって気づかない誰かの意見や生き方が参考になっている。

我々は大体、10代の後半から20代の前半に人生の大きな決断を迫られる。

就職、進学だ。

人生経験の少ない自分が判断するにはけっこう大きな決断だと思う。
その後の人生に大きな影響を与えるし、間違うとリカバリーが難しい状態に追い込まれることだってある。そんな大きな決断だ。

 そんな大事なことを、経験の少ない人間がバランスの良い判断ができるのか?と言えばあまりできないんじゃないかと思う。

自分の判断を狂わせるものがあまりに多すぎるからだ。それは、夢であったり仕事に関するイメージだったりする。経験をしていないことを判断するのだから、イメージで判断するしかないし、若いうちは可能性を信じて夢に突き進みたいという気持ちだってある。

大人になると、夢の大半は叶わないことを知っているし、自分はそんなに大きなことができる人間ではなかったことも知っている。そして、そういう大人ほど決断を迫られた若者にあれこれと言いたがるのだ。

「夢は大事だと思うけど、まずはしっかりと就職して社会経験を」

「夢なんてほとんど叶わないから現実見て」

「学歴なんて重要じゃないよ、自分次第でなんでもできる」

「学歴は重要だよ、低学歴だとブラック企業くらいしか就職できないよ」
「就職したら3年は辞めないほうがいいよ、まずは社会経験が大事だから」

現在、決断を迫られている若者だけではなく、大人だってこんなことを言われた経験はあるのではないだろうか?

どれもが正しくて間違っている。

少なくとも、その人にとって役に立つ情報でなければ正しい意見では無い。
経験を積んだ大人の言うことはけっこう正しい。これは間違いはないと思う。だが、その意見を聞く人にとって正しいものであるかはわからない。

その人のために言った意見だとしても、だ。押しつけの意見に対して若者は拒否反応を示すことが多いし、俺はそうだった。「お前はそうだったんだろうが、俺はそうならない」と思ったものだ。

相手の意見を聞いて、伝わりやすい言葉で話すことができる大人は少ない。だいたいが押しつけがましい言葉になる。それだけならまだしも、明らかにイラつきながら話す大人もいる。じゃあ言わなくていいよ、とも言えない若者は反論できずにそれを聞くふりをするだけだ。まあ、時間の無駄だ。


俺は、大学を卒業するときに就職をするつもりが無かった。親は大学は出てくれと言った。それさえしてくれれば何も言わないとも言われたと記憶している(定かではない)。そんなわけで就職活動は周りの目があるからなんとなくしたけれども、そもそも就職する気が無いのだから全く意味のない時間を過ごしたわけだ。

就職をしないでどうするのか?と聞かれればあまり考えは無かった。あまりに昔の話だからもう定かではないが、大学を出るからと言って、当たり前に社会人として働くというイメージがわかなかったのかもしれない。

実際、パソコンの専門学校に行こうとして資料を取り寄せ、フリーターだった友達を誘って入ろうとしたこともあった。大学4年の秋口だったと思う。その頃はWindows2000とかの時代だったか?少なくともXPでは無かった。これからはパソコンで生きていける時代だと思ったから、専門学校で勉強しようと思ったわけだ。これは今にして思えば間違っていないと思う。


そうして俺は、親戚のコネで大学の事務員となった。
さて、全然違う道に進んだわけだが、俺になにがあったのだろうか?
ちなみに、専門学校だが友達は行った。18歳に囲まれて22歳が勉強したのだ。年齢は偽ったらしい。その後数年間は、裏切り者と文句を言われ続けたが、完全に俺の口車に乗せられたわけだし当たり前である。

まあ、事務員は1年ごとの契約更新で、いわゆる期間職員みたいなものだ。最長で3年で、その後は系列の大学や団体でまた3年の契約期間は働けるというやつ。就職をしない俺を心配した親戚が、気を使って口を聞いてくれたわけだ。

さて、この選択は間違いだったか、そうではないか?
これはわからない。

ただ、22歳の俺には少なくとも見えている道が2つ、見えない道だっていくつかはあったと言える。

パソコンの専門学校に行ってSEの勉強をする。
大学の職員になる。
これが見えている道。

頑張って就職活動をして、なんとか会社に入る。
フリーターをする。
起業する。
大工の見習いになる。
これが見えていない道のいくつか。

今、俺は個人事業主だから起業したと言えるが、それ自体は昔からしたかった。会社員で働くよりも、自分で仕事を作り、稼ぐつもりだった。その当時それを選ばなかったのは、単に何をしたらいいか分からなかっただけで、分かっていたら起業を選んだ可能性は高い。

大工は本当になりたかったし、高校卒業時点で親にも言った。大工になりたいと。その際に言われたのが上に書いた、「大学だけは行ってくれ」だ。親父は専門学校卒業で、会社に入ってから大卒の連中と比べて出世が遅いことが悔しかったから、子供にはそんな思いはして欲しくないと言っていた。結果的に親父は役員になったのだから、会社人生では成功したと思うが、きっと社長になりたかったのだと思うし、当時はなろうと思っていたのだとも思う。

起業、大工を見えない道に入れたのは、大学卒業前の俺はその2つを具体的に考えていなかったからだ。起業はやり方が分からない、大工は今更遅い、ということだったのではないかと思うが今はもう定かではない。


ここまで読んで頂いたなら分かったと思うが、俺の人生の決断に際しても複数の意見があったのだ。書いたこともあったし、書いていないこともあったから、覚えている限り列挙してみよう。


専門学校に行こうよ(誘った友達)
就職をしてほしい(母親)
就職しないなら公務員になったら?(母親)
大学の職員になったら?(親戚)
就職をしないでどうするつもりか?(サークルの友人)
就職しないと大学に行った意味が無くなる(サークルの友人)
しばらくは養えるから自分のやりたいことを見つけてほしい(父親)
起業するにしても社会経験は絶対に必要になる(父親)


もっとあるとは思うが、20年ほど前なので覚えていない。
心配する母や親戚、誘ったくせに専門に行かない選択をする俺を止めたい友人、大学に入ったのに就職しない俺をバカだと思うサークルの友人などなど反応は様々。

そんな中でも親父は寛容だった。俺なら言えないだろう言葉をかけてくれた。
俺はそんな親父に甘えて大学職員というお金を稼げて働くという結果になる、一番楽な道を選んだのだ。俺の性格上、たぶんそうだ。

俺は楽な道に逃げる人間と自負しているし、今もそういう傾向がある。追い込まれるまで仕事も頑張らないし、できるなら働きたくはない。働くなら自分が好きなことしかしたくないし、誰かにこき使われるなんて耐えられない。

そんな俺でもなんとか暮らしていける日本という国には感謝しているし、何よりもお金を出してくれ、あれこれと言わなかった両親には感謝してもしきれない。


確かに、就職や進学で判断を間違うとリカバリーが難しい状況になることもある。俺もそのパターンであるとも言える。もしも大学時代に就職活動をしっかりとしていたら、今のような零細個人事業はしていない可能性はあるし、専門学校に行っていたらそれで独立への道が開けていたかもしれない。

俺はそういう可能性を捨てて、今につながる道を選んだと言える。


現在、昔よりも選べる道は増えたと思う。
学生で起業することだって楽になったし、ネット環境の整備やそれに伴い成長した分野だってある。株は個人で参加しやすくなり、FX、仮想通貨という新しい投機も生まれた。ブログやアフィリエイト、インスタグラムだって収益化が可能だ。

様々な方法で起業すること、個人で生きていくことは可能になった。
社会への参入障壁が低くなった時代と言える。俺も今大学生なら、上に書いたうちのいくつかはやっていたと思うし、起業したのではないかとも思う。


それなら今は稼ぎやすいのか?というとそれは違う。
参入の障壁が低い業界は、稼ぎが分散されるだけに、パイの取り合いになる。よりニッチに、より質の高いものに、より注目を集めるものに、という企業努力が必要になる。

社会への参加に対する参入障壁が低くなった、とは働くこと、稼ぐことの選択肢が増えたということ。決して楽して稼げるようになったわけでもなく、起業して成功できるということでもない。


可能性や選択肢だけが増えた状態、と言える。
結局、何をしても自分の食い扶持、税金、将来への備えなどのお金は稼げてないと暮らすことはできない。


最近、ブログのアクセス解析を久々に見たら、就職に関する記事が良く読まれていた。この記事を書いたのは単にアクセスが伸びるかも、というだけで若者に対して役に立つアドバイスは書きながら、と思っていた。


結局、今が楽しいだけの選択肢を選ぶと苦労する、という月並みな言葉しか思い浮かばなかないわけで。
そりゃそうだ、アフィリエイトなんて30代半ばで知ったし、インスタなんて2~3年前、仮想通貨は去年、FXは5~6年前だ。ブログは書いているけれども別に収益目的じゃない。そういうわけで具体性のあるアドバイスなんて不可能である。

ただ、やりたいことをするなら、就職した周りの友達や、親を納得させるだけ稼ぐことは必須だと思う。そういう意味での頭の良さ、センスの良さは必要だし稼ぐための勉強だって必要だと思う。

自分が思い付きでやったことが、注目を集めたり収益化することができるのなら、それは素晴らしいことだ。だが、ほとんどの人はそういうセンスは無い、残念だが。
稼いでいる人のやり方を盗み、自分のやり方に合わせてアレンジしつつ、オリジナルに近づけるような知恵は必要だと思う。


人と接したり、社会の仕組みを知ったり、仕事のストレスを受けることだって、目的意識を持ては見え方は変わるのだろう。社会をイメージで語ることなく、当事者意識を持ち、自分の将来に対して責任を持つことで、やっとバランスの良い判断をする「準備」ができるのかもしれない。


いずれにしても人生は楽しく、意外に長い。
その大半を占める仕事がストレスばかりでは辛かろう。
将来の自分が幸せになれる判断をしてほしいものだ、俺ができなかったことだが。